「文系学部廃止」騒動の真相、大学改革への提言をまとめた一冊『「文系学部廃止」の衝撃』

BIRDY社会部

2015年6月文科省の通知から始まる「文系学部廃止」騒動。果たしてその真相はどのような内容だったのでしょうか?

騒動の真相、文系の知が本当に役に立つ論拠、さらに、大学改革への提言までを含めた画期的論考をまとめた『「文系学部廃止」の衝撃』をご紹介します。

 

問題の発端は、文部科学省が今年6月に出した通知

問題となったのは、通知文のうち「教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院については、18歳人口の減少や人材需要、教育研究水準の確保、国立大学としての役割等を踏まえた組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする」としたくだりです。これについて文科省は、「廃止」とは教員養成系でも教員免許の取得を目的としない「ゼロ免課程」の定員に限り、教員養成課程や教職大学院に振り替えることを求めたものであり、人文社会科学系にはかかっていないと説明しています。 しかし、この一文だけを取り出して普通に読めば、文系学部や大学院全体を廃止したり転換したりすることを求めたように受け止められても仕方ないでしょう。もとは高校の国語科教員だった馳浩文部科学相も、10月に就任した直後の会見で「通知の文章は、国語力の問題だ。私なら32点ぐらいしかつけられない」と評しました。 出典:http://benesse.jp/kyouiku/201511/20151120-1.html

 

”「文系学部廃止」の衝撃”が発売

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「あとがき」より

私は本書を通じ、「文系は役に立たないから要らない」という議論ばかりではなく、「文系は役に立たないけれども価値がある」という議論を批判してきた。

これらに対し、「文系は必ず役に立つ」というのが本書の主張であったのだが、そのような主張をするには、「役に立つ」とはいかなることかを問い直す必要があった。

「役に立つ」とは、今後五年の経済成長に貢献するといった手段的な有用性に限定されない。そうした「効用」の論理は、特定の価値世界のなかの出来事にすぎないのだが、歴史のなかでは価値の軸は必ず変化する。

高度成長期と現在を比較してもらえば明らかなように、これまでも数十年単位で価値の軸は変化してきた。

そしてこの価値の軸が大きく変化するとき、過去の手段的な有用性は、一挙に「役に立たなくなる」。

 

書籍情報

「文系学部廃止」の衝撃
[著者] 吉見俊哉(よしみ・しゅんや)
[発売日] 2016年2月17日(水)
[定価] 本体760円+税
[ISBN] 978-4-08-720823-8
[WEBサイト] http://shinsho.shueisha.co.jp/

 

著者プロフィール

吉見俊哉(よしみ しゅんや)
1957年、東京都生まれ。東京大学大学院情報学環教授。
同大学副学長、大学総合教育研究センター長などを歴任。
社会学、都市論、メディア論、文化研究を主な専攻としつつ、日本におけるカルチュラル・スタディーズの中心的な役割を果たす。
主な著書に『都市のドラマトゥルギー―東京・盛り場の社会史』『「声」の資本主義―電話・ラジオ・蓄音機の社会史』
『天皇とアメリカ』(テッサ・モーリス・スズキ氏との共著)『大学とは何か』『夢の原子力』ほか多数。

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