記事をメディアに掲載するにあたり、どのくらい“校正・校閲”する?編集者・ライター100人に聞きましたアンケートレポート

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編集会議』(2016年10月31日発売)が、編集者・ライター100人にアンケートを実施。

メディア業界の現場の本音や数字を可視化する目的のアンケート、2016年秋クールのテレビドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」の実態についても調査した興味深い内容になっているのでご紹介します。

地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子って?

ファッション誌の編集者を夢見ているオシャレ大好き河野悦子(石原さとみ)は憧れのファッション雑誌を発行する出版社に何度も就職チャレンジ、ようやく入社できたと思ったら、希望のファッション誌の編集部ではなく、「校閲部」!というところから物語が進んでいきます。

ファッション大好きでポジティブな悦子は、校閲の仕事の一見地味なところに戸惑いつつも、その仕事の大事さや同僚・上司との関わりを経て、成長していく宮木あや子原作小説のドラマ化。

2016年10月期の日テレで放映。

※校閲の仕事とは、主に、文書や原稿などの内容の誤りや不備を調べて、直し、正すこと。(出典:日テレ

Webメディアを中心にに、校閲者による校閲がなされないままの記事が世に出始めた

メディアが書籍をはじめとするコンテンツを世の中に出す際、「校閲」を専門とする担当者が誤字や矛盾、事実誤認を正すプロセスを経るのは、これまで当たり前とされていました。それは雑誌などに掲載される記事も同様で、現在放映中のテレビドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」のように自社内の校閲部、あるいは校閲を専門とする会社が校閲した上で、メディアに掲載されることが多かったのです。

しかし、昨今はWebメディアを中心に、校閲者による校閲がなされないまま、記事が公開されるケースが増えています。では実際にどのくらいのメディアが、いわゆる“校閲ガール”(あるいは“校閲ボーイ”など)を活用しているのかアンケート調査が行われました。

編集者・ライター100人を対象とするアンケートで「記事をメディアに掲載するにあたり、どのくらい“校正・校閲”をしますか?最も多いパターンを一つ選んでください」という質問をしたところ、以下のような結果となりました。

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上の結果の通り、校閲を専門とする担当者による校閲を経ず、記事が公開されるケースが6割を超えているということがわかりました。編集者・ライター自身が校閲をしているということを示し、自身の校閲スキルの認識に関する結果としては「(校閲に対する自信が)ある」「どちらかといえばある」が合わせて約54%にのぼります。

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その自信を裏付けるかのように、「校閲の甘さから危機的な状況に陥った経験のある」編集者やライターは30%弱と少ない結果になっています。

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『編集会議』2016年春号(前号)で同様のアンケートをとった際には失敗事例も多数寄せられた

  • “桃太郎と犬猿雉の写真を入れるために正式な写真を手配していたのだが、アタリで入れていた渋谷のハチ公(犬)と、上野にある西郷隆盛の銅像(桃太郎)のまま印刷されてしまった。”

  • “ライバルメーカーにあたるA社とB社の会社名を入れ違えて掲載してしまった。両社から「よりによって」と怒られ、顛末書を求められて、平身低頭して謝罪文を書いたが、編集長には「ここまで謝る必要はない」と半分ぐらい削られた。”

  • “作家さんから届いた小説原稿に目を通していると、序盤で殺されていたおばあさんが、また殺されていた。きちんと校正していてよかった。”

  • “ある企業の広告キャンペーンについて掲載する際、「白い犬のお父さんシリーズ」のはずが、「白いお父さんシリーズ」となっていた。入稿前に気づいたため大事には至らず。”

  • “奥付の版元(自社)の電話番号に誤植があり、他社の電話番号だった。訂正シールをつくって社員総出で都内書店で貼って回った。”

メディアの品質管理に必須の「校閲」という機能

校閲者でさえ「校閲者の目を通したどんな書籍や雑誌にも、必ず何かしらの誤植がある。完璧にミスのない書籍・雑誌は存在しないのではないか」(某校閲者)というのだから、校閲そのものが、記事そしてメディアの品質管理という点において、欠かせない機能だということがわかる。

※本記事におけるアンケート回答者分布

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