NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(以下、JMOOC)と共同で「大学のオープン化に関する調査」を実施、調査結果を発表しましたのでご紹介します。
総括
2012年にアメリカで始まった「MOOC」は今やヨーロッパ、アジア、インドなど世界中に広がりをみせ、すでに全世界では4000万人以上が受講していると言われている。一方、日本においては、2014年4月からその取り組みがスタートして2年半が経過し、受講者は27万人にまで拡大した。未だ世界とは開きがあるものの、この取り組みへの好評価は8割以上に達し、その認知度や利用意向率も徐々に向上してきている。
一方、ITを活用した教育“Edtech”の進展によって、いつでもどこでも手軽に学べる環境が整いつつあるものの、社会人の「学び直し」経験者は未だ少ないのが現状である。しかし、今後の学び直しを希望する層を合わせると、その率は約半数に上った。学び直しの希望の手段としては、無料のWEB講座と書物を求める声が多く、今後、MOOCでの学びにはポテンシャルが高いことがうかがえる結果となった。ひいては、今後の教育のあり方が大きく変化する可能性もうかがえる。
なお、MOOCで学習したい分野は、昨年同様、歴史、心理学、音楽・映画が男女ともに強く、その他分野では、男性はビジネス・実学系に、女性は生活に密着した分野に関心が高い結果となった。
調査結果のポイント
(1)MOOCについての良い評価が84%
大学の講義等を無償のオンライン講座で学べる「MOOC」は、講義を閲覧・学習後、課されたテストや課題について修了条件を満たした学習者には修了証が発行される教育サービスであり、2014年4月から日本でもこの取り組みが始まっている。この教育サービスへの評価は非常に高く、認知度も昨年に比べて向上した。未だ大多数の人には利用経験がないものの、利用経験者は昨年調査の2.6%から5.4%と3ポイント近く上昇し、未経験者における今後の利用意向率44.5%と合わせると約50%となり、半数の人がMOOCへの利用意向を示している。
(2)MOOCでの希望の学習分野は、男性は「歴史」、女性は「心理学」への関心が高い
学習したい分野についての希望は、順に歴史(28.4%)、心理学(28.2%)、経済学・金融(25.3%) 、音楽・映画(24.3%)、芸術(22.8%)と、上位2分野が他よりも少し多い傾向にあるが、特定分野が極端に多いわけではなく、教養系科目と実務系科目に万遍なく希望が分散しており多様なニーズが示されている。また10位までに入った分野は昨年度の調査結果と同一であり、普遍的な傾向であることがうかがえる。男女別でも昨年同様、男性ではビジネス・実学系への関心が高く、女性は生活に密着した分野に関心が集まる結果となった。
(3)講師による直接対面授業である「対面学習コース」への受講意向は75%
日本独自の取り組みとして、講義動画受講後に講師本人から直接講義が受けられる「対面学習コース」が設定されており、その数は講座全体の約4割におよぶ。この対面学習への受講意向は75.0%と昨年度(68.8%)よりも約6ポイント向上した。受講希望の理由は、講師から直接講義が受けられる、分からない部分を直接質問できる、同じテーマに興味を持つ受講生と議論ができるなど、積極的な交流を望む姿勢が見うけられた。
(4)「修了証」はモチベーション維持に有効。自己PRへ繋がるとの期待が高い
MOOCでは、講義動画受講後に課題やレポートを提出し、得点合計が所定の水準を越えると修了証が取得できるが、その修了証については、大半(79.1%)がその必要性を感じており、モチベーション維持や自己PRに繋がるなどのメリットを感じていることが読み取れた。
(5) 社会人の「学び直し」経験者と今後の学び直し希望者の合計は約半数の46.9%。
学び直し手段は、無料のWEB講座と書物を希望。MOOCの活用に期待。
社会人になってからの「学び直し(学生時代に専攻した科目について)」率は経験者が16.7%(未経験者83.3%)と、低い値となったものの、今後学び直ししたいと考える層(36.3%)と合わせると46.9%に達した。また、希望する学び直しの手段としては、無料のWEB講座が60.8%、書物による自主学習が58.3%と高い値となった。
なお、“学び直し”に限らず、社会人になってからの研修や通信教育、スクール等での学習機会全般について見てみると、過去および現在の受講者が29.6%、今後の受講意向者とを合わせると44.8%になり、同じく約半数の人が学習機会を望んでいることがわかった。機会があれば取得したい能力・知識は、「語学に関する知識」「PCを含むIT関連の知識」への希望が高く、具体的な資格では、「TOEIC」が圧倒的に高い結果となった。
調査概要
調査対象者 :「NTTコム リサーチ*」登録モニターのうち、該当クレジットカード契約者
調査方法 :非公開型インターネットアンケート
調査期間 :2016年9月6日(火)~2016年10月10日(月)
有効回答者数 :1,191名
回答者の属性 :
【年代】
男性10代:4.3%、20代:9.0%、30代:9.1%、40代:9.1%、50代:9.0%、60代以上:9.2%、
女性10代:5.1%、20代:9.0%、30代:8.9%、40代:9.0%、50代:9.2%、60代以上:9.2%
【職業】
会社員:34.3%、公務員・団体職員:5.2%、自営業:7.1%、学生:10.6%、
アルバイト・パート:11.8%、専業主婦・主夫:18.3%、無職:11.1%、その他:1.8%
本調査は毎年実施されており、今回は10回目の実施となります。NTTコム オンラインが運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」(旧 gooリサーチ)(*)の登録モニターのうち全年代の方を対象に調査を実施し、有効回答者数は1191名でした。
調査結果の詳細はこちらから:
http://research.nttcoms.com/database/data/002043/