「仕事に人付き合い、もう疲れた……」「家事に追われて何も考えられない……」
そんなため息ばかりついていませんか?
いつも立派な大人でいられる人はごくわずか。ビジネス書や自己啓発本を読むのも素敵ですが、疲れた時には童心に返るつもりで絵本を開いてみることをおすすめします。ここでは、疲れをじんわり癒してくれる、優しくも心に残る絵本を5冊ご紹介。友人や大切な人へのプレゼントにもどうぞ。
大人も楽しめるしかけ絵本『きりのなかのサーカス』
イタリアのアーティスト、ブルーノ・ムナーリによるしかけ絵本、『きりのなかのサーカス』。
第一線で活躍するデザイナー・渡邉良重さん(キギ)も東京ミッドタウン「本・ことば・デザイン」展で推薦していました。物語はトレーシングペーパーに印刷されており、遠くの景色が霧の向こうに見えるようです。ページをめくる前後でがらりと変わる場面展開に、童心を思い出してわくわくしてみませんか?
本棚にあっても恥ずかしくない、おしゃれで楽しい絵本です。
がんばれなくなったら『はやくはやくっていわないで』
漫画家でありエッセイストの益田ミリさんによる『はやくはやくっていわないで』は、益田ミリさんご本人の体験がきっかけで書かれたそう。
「一番最後に並んでえらかったな」という先生の言葉は大人になっても忘れられずにいるといいます。絵本では小さな汽船が主人公。飲み込まれそうな大海原で心細くなる汽船の心情にそっと寄り添いたくなります。
なんでうまくいかないんだろう、と自信を失いそうになったら開いてほしい一冊。
星野源の歌詞を読むフォトブック『ばらばら』
ミュージシャン・俳優の星野源さんが書いた6曲に平野太呂さんの写真を添えたフォトブック。
何気ない言葉で核心を突く星野さんの歌詞は、改めて文字に起こして読むとはっとさせられます。日常の一隅をそっと掬い取るような平野さんの風景写真も美しく、まさに大人の絵本。
弾き語りCDも付いているので、おやすみ前にCDを聴きながらページをめくるのがおすすめ。
生と死を見つめ静かに押し寄せる感動『かないくん』
谷川俊太郎さんといえば今や日本で最も知られている詩人の一人。
若いアーティストと次々にコラボを試みる谷川さんが出会ったのは『鉄コン筋クリート』『ピンポン』などでおなじみの漫画家松本大洋でした。クラスメイトの死を回想するおじいちゃんと、おじいちゃんの最期を重ねて見つめる私。
丁寧に選ばれた言葉と繊細な絵、ページをめくるたび悲しみとも違う感情が静かに押し寄せます。
言葉がなくとも伝わる名作『The Snowman』
誰もが一度は見たことのある『スノーマン』、絵本を読んだことはありますか?
実はこの本、洋書ではありますが本文が一文字もありません。イラストだけで淡々と進行するストーリーは、無音なのに少年の楽しそうな笑い声が聞こえてくるよう。だからこそ、エンディングの一コマがずしんと響くのです。この本が世界共通で愛されるのも頷けます。
クリスマスプレゼントにも最適の、長く手元に置いておきたくなる絵本です。
最後に
最近ではあえて大人向けに描かれた絵本も多く出版されています。限られた字数の中で語られる物語は、時に長い長い小説よりもダイレクトに胸に届くはず。読書の秋、今のあなたにぴったりの絵本を見つけてみてはいかがでしょうか?