外資系証券マンの本棚(5)(教養としての音楽編)

音楽・ミュージック・クラシック

二軒茶屋です。

最近「オトタビ」という番組を良く見るのですが、歌手の人に30分フォーカスを当てるような番組ってなかなか無いですよね(昔やってた「みゅーじん」くらいでしょうか)。

「オトタビ」は歌手の人の思い出の場所を巡って、その人にまつわる音(電車の音とか)を紹介していく番組なのですが、見ていて新鮮な感覚を覚えます。なぜ「新鮮」なのかと考えてみると、普段音楽を聴いているときに歌手の人がどんな思いで作ったかとかを全く考えていないからかなと思うわけです。

そもそも音楽は誰のためにあるものか、というと難しく聞こえますが、聴く人にとっては聴く人だと思います。だから僕も聴き手として好きなように曲を解釈し、勝手に自分の思い出に結び付けたりして、結局自分の曲にしてしまいます。

逆に音楽家は誰かのために作ることもあるでしょうが、基本的には自分の為、何かを伝えたいからなんでしょうね。その意味では、好きな曲に「出会った」とき、そのひとは無意識に音楽家のメッセージに「共感」しているのではないでしょうか。

本日ご紹介するのは、そんな「無意識」の共感を少し「意識的なもの」にするため本です。

 

 音楽とことば~あの人はどうやって歌詞を書いているのか~

この本は出合った瞬間に買いました。初めて知る歌手の人もいましたが、自分の知っている歌がどんなときに生まれたのか、新しい刺激になりました。知らない曲の説明でもYouTubeで聴いてそれから読むようにしました。新しい音楽の楽しみ方ですね。
インタビュー形式ですが、特に歌詞に定評のある、安藤裕子、木村カエラ、曽我部恵一、原田郁子、レオ今井、そして今は亡きフジファブリックの志村正彦(涙なしに読めません!)等が紹介されています。

音楽を読むという新しい体験を是非楽しんでください。

 

ラップのことば

ラップは最も歌詞の量が多いジャンルかと思いますが、その分たくさんのメッセージや「遊び」がちりばめられています。反社会的な出自を今でも色濃く残し、熱いメッセージが渾身の一撃のように降りかかってくる、聴き手と音楽家の戦場ですね。俺をわかってくれ!と。

参加者は、ANARCHY、いとうせいこう、宇多丸(RHYMESTER)、K DUB SHINE、COMA-CHI、サイプレス上野(サイプレス上野とロベルト吉野)、SEEDA、SEAMO、Zeebra、DABO、童子-T、般若、PES(RIP SLYME)、BOSE(スチャダラパー)、Mummy-D(RHYMESTER)、などなど、若手からベテランまで幅広い人が語っています。

なおこちら、第二弾も出ています!こちらにはKrevaやVERBAL、GAKU-MCがインタビューに答えています。 もっとコアな方には「ヒップホップの詩人たち」もオススメです。こちらは相当マニアックですが・・・

 

神秘のモーツァルト

最後は少し趣向を変えて、クラシックから一冊。

正直クラシックの解説書なんて子守唄と同じだという人も多いと思います。僕もそうです。
その意味ではこの本はお楽しみ頂けるかと思います。
言うなれば、モーツァルトの狂信的なファンが、冒険をしながらモーツァルトの核心に迫っていく、アドベンチャーを、綺麗な言葉で書いた本といったところでしょうか。例えばある一節ではこう表現しています。

“彼の音楽はオルフェウス的であって、四大元素に影響を及ぼす”

クレイジーですね。学術だとか、対位法だとか、そういうものは抜きにした、ある種のドキュメンタリーとして読んでみてください。

最初はとっつきにくいかもしれませんが、クラシックが好きな人に、「僕はモーツァルトのこういうところがすきなんです」、「こういう側面もありますよね」といったことを語れたら、カッコいいですよね!

少し値段は高いですが、もしクラシックに少し興味がある一方で堅苦しい本を読みたくない方、オススメです。