6月をむかえ、新入社員もそうでない方も、新年度に一息つきはじめられた時期ではないだろうか。
過度の緊張や多忙さからすこし解放され、同時になんだかやる気がでない、意欲がわかないという人も多いはず。
やる気、意欲というと「やる気がでないなんて自分はダメだなあ」など、とかく「自分の意思」の問題と思いがち。 しかし本来、意欲・やる気は自分の意思とは無関係なのです。
「キッパリ」(幻冬舎、2004)でおなじみのイラストレーター上大岡トメさんと、気鋭の脳科学者、東京大学大学院薬学科教授・池谷裕二さんとの共著であるこの本は、ヒトの「やる気」のメカニズムが楽しく、わかりやすく説明されています。
気負って何かをはじめても、つい三日坊主(一日坊主、二日坊主も…)で終わってしまう…
これは脳の働きでいうところの「馴化」、すなわち「馴れ」によるもの。
新しいことをはじめるのは当初、脳にとってとても心地よい刺激ですが、環境に順応しながら生き延びてきたヒトの「脳力」ゆえ、その刺激もいずれ「当たり前のこと」になってゆきます(馴れ)。 その結果、刺激によって得ていたモチベーションはしんなり萎れ、そこでやめてしまうと三日坊主…
そもそも、このような仕組みを司っているのが脳の奥のほうにある蒼い球。
その名も「淡蒼球(たんそうきゅう)」(じっさいに青っぽい色をしているらしいです)
この部位がピコピコと刺激に反応することでヒトは「意欲」「やる気」を感じるのですが、しかしこの部位、それを持っているヒト本人の意思で動かしたり休ませたりするのができないのが厄介なところ。 「やる気」に「意思」が無関係であるのはこのためです。
ならばこの淡蒼球。いったいどうやって動かし始めればよいのか?
これを動かし始めることができるなら「意欲」も「やる気」も、自分を責めることなく迎えにいけるはず!
実際、淡蒼球を動かすスイッチは4つあります。その4つとは
スイッチB(Body)
スイッチE(Experience)
スイッチR(Reward)
スイッチI(Idaomoter)
この本の後半ではこれらのスイッチの意味と、その入れ方がごくごく具体的に説明してあります。
これらのスイッチは仕事や勉強はもちろん、ダイエットや語学学習、日々の家事に至るまで 「継続することに意味がある」すべてのことに使うことができます。
さらに、そんな具体的なスイッチの入れ方をもっと知りたい!という方は、こちらの本を。
「ちっちゃいチャレンジ」、題して『コチャレ』。
この本にはやる気をむかえにいきたいときのスイッチの入れ方が108個(!)
そのすべて、著者である上大岡トメさんが実際にご自分で試してみられたものです。
巻末には上大岡トメさんと池谷裕二さんの、脳に関する対談もあります。
108個の「コチャレ」をひとつひとつ読んでいくと、それらはいわゆる知恵や工夫であったりするのですが 「その発想、わたしにはなかったなぁ」 と思うもの 「これ、やってる」 と思うもの、イラストと文字で整えられているページが自分自身の頭のなかにきれいな引き出しをひとつずつ作っていく作業のようです。
そんな引き出しを上手に使えられれば 、「やる気でないなぁ」 のときも、自分に上手に手当てできるはず。
そしてその先にあるのは、続けることだけでしか生まれない大きな 「なにか」 です。
梅雨のじめじめとあいまって、なんとなく心が晴れない日。
脳の蒼い球に思い巡らせ、ちいさなやる気を迎えにいってみてはいかがでしょう?