二軒茶屋です。
本日は、日本で最も有名な「村上さん」のデビュー作をご紹介します。村上春樹さんの「風の歌を聴け」と村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」。
同時代に生きながら作風も全く異なるこの二名のデビュー作を、いま再読するのはいかがでしょうか。昔読んだという方も今大人になって読み直すと印象が変わってくるかもしれません。
私も中学時代にこの二冊を読んで、相容れぬ両極端な内容にもかかわらず、ずきゅんと撃ちぬかれてしまい、人生が180度変わりました(特に龍さんの方は衝撃的でした)
風の歌を聴け
あらすじは可能な限り最低限にさせて頂きます。というのもこの小説はある意味キャンパスのように無地で、見る人によってどのようにも解釈できる作品だからです。
私も一度目に読んだときは、結局なんだったんだ!という感覚に教われました。
主な登場人物も3人。男性x男性x女性。女性を取り合うわけでもなく、何か事件が起きるわけでもなく、淡々とこの三人が過ごしたある短い期間の出来事が描写されるだけ。
村上春樹さんの特徴ではあるのですが、肝の部分は全部かかないんですね。その部分は読者が埋めなければいけない。ただその過程で、私小説が生まれるのではないかと思います。
無地だからこそ、今の自分の感情や考え方が如実に感想に反映されると思うので、なにか調子が悪い、といったときに読むと自分自身を見つめる為の鏡として有用かもしれません。自分色に染めてください。
限りなく透明に近いブルー
ある意味「風の歌を聴け」とは真逆の内容かもしれません。これでもかと言うほどに過激な事件、描写があふれ、読むものを圧倒します。
ただその暴力的な描写の中でも唯一、リュウという主人公はまるで人形のように感情もなにも無い自分物として描かれています。
米軍基地を舞台に倫理観や道徳を一切排除した中で、欲望のままに生きる人々の織り成す物語。SEXや暴力といった描写も多い一方で、根底に流れるものは人間としての究極的な「問い」。
私も初めて読んだときに、「こういう世界、感覚もあるのか!」と一つの壁を乗り越えたような気がしました。
大人になって読むとまた違った捉え方が出来るのかもしれません。
決まりきったルールに縛られることに抵抗を感じている人には、反抗のきっかけ、自分の置かれている状況を見直し、ブレイクスルーするためのきっかけとなるかもしれません。
しかし全く真逆の文体でデビューした二人の作家が、その後の作品でどのように変化していったのか。
デビュー作を読んで頂くことで新しい一面が見えてくるかもしれません。是非二冊続けて読んで頂くことをお勧めいたします!