NHKスペシャル「見えず聞こえずとも~夫婦ふたりの里山暮らし~」が話題となり、西日本でただ1人の女性ろう牧師 郡 美矢(こおり みや)さんが注目されている。
過疎の地のチャペルで、孤立した老人の希望の光となった女性からのメッセージ集『あなたは見えないところで愛されている』をご紹介します。
彼女の明るい人柄で協会に多くの人が訪れる
過疎の地のチャペルで、週末になるとお年寄りや障害を持つ人々の笑い声が響く。その中心にいるのは、西日本でただ1人の女性ろう牧師 郡 美矢(こおり みや)さんだ。
ろうの家族に生まれたが、耳が聞こえないことをものともしないパワーを持つ郡さん。高校卒業後、歯科技工士としてカナダへ渡り必死に英語と現地の手話を覚え、働いたお金でアメリカの大学へ留学。大学院ではクリスチャン教育を専攻し、アメリカで牧師として働いた後、日本へ帰国し牧師になる。
現在は、広島、兵庫の教会で彼女を慕いやってくる人たちに話をしたり、お年寄りやろうの方々へ振動と身振りで歌う讃美歌を教えたりしている。
更には、その合間を縫って国際手話通訳として会議に参加、国際的にも活躍する。
「耳が聞こえないのは天から与えられた私の個性、存分にその個性を利用しなくては」
と前向きな郡さん。過疎のため孤立しがちだったお年寄りや障害を持つ人たちが、彼女の明るい人柄と企画力に惹かれ、教会へ集まるようになり地元で話題になっている。
目次
第1章 苦労はゆたかな収穫である
人生は「踊る阿呆」の方がおもしろい/なんの根拠がなくても「あなたならできる]/アメリカ貧困地域で気づいた日本の教育観
第2章 あなたは愛されている
自分の上手な「なだめ方」を知る/やわらかな言葉、激しい言葉/心の境界線を持つ
/自分を大事にできなければ、仕事は長続きしません/「比較」は嫉妬を呼ぶ
第3章 希望を抱いて生きる
喜ばない人には喜ばない人がついてくる/他人の欠点は「美人の掛けた前歯」/ただ、弱っている友のそばにいてあげよう/「許し」は奇跡/身近な人の死が近づいたときに、できること
信者の方の感謝の声
「美矢先生がいたから洗礼を受ける決心をした。苦しみや悩みに対してつねに励ましを忘れない今までに会ったことのない優しい人。娘のような年齢だが、人生を救われた」(NHKスペシャル『見えず聞こえずとも』出演・梅木久代さん談/京都府)
「最初は障害者の通訳介助のボランティアで、教会に付き添っていただけだが、とんどん美矢さんの明るさにひきこまれ、今は自分が通いたくて日曜教会に通っている」(60代女性/京都府)
「誰とでも垣根をつくらず、心を開き、すぐ友だちになれる。聴者の自分より、ずっと友だちが多くて、彼女のいるところは陽の光とあたたかさが絶えません。エラい勉強してきたなぁと関心しましたが、出会った10代の時から少しも態度が変わらないのが、最高です!」(40代/信者さん/土家さん)
「良くないことはちゃんといってくれる。こういう時代だからこそ、その率直さ、正直さが貴重だと思える。家から片道2時間かかるが、日曜教会で彼女に会うのが楽しみ」(もうろう男性)
「美矢さんみたいな牧師になりたいと思ってボランティアにきた。その明るさに誰もが癒されている。後ろ姿に学ぶことがたくさんある」(20代男性)
書籍概要
あなたは見えないところで愛されている
郡 美矢 著
発売中
発行元:株式会社KADOKAWA
定価:本体1,000円+税 体裁:B6変形判
著者プロフィール
郡 美矢(こおり・みや)