『ワケありな本』(沢辺有司)-高橋ゼミ・ブクログ

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こんにちは。高橋ゼミのイクミです。

 

今回ご紹介する本は、沢辺有司さんの『ワケありな本』です。

 

この本は、「事件や災いを引き起こした本」や、「政治や戦争で発禁になった本」、「わいせつ表現が問題になった本」など5つの章と、名作なのに「ワケあり」な40冊の本で構成されています。

 

突然ですがみなさんは、「ライ麦畑でつかまえて」という本をご存じですか?

 

「自分は 広いライ麦畑で遊んでいる子どもたちが、気付かずに崖っぷちから落ちそうになったとき、捕まえてあげるような、そんな人間になりたい」と、自身の落ちこぼれ意識や、疎外感にくるしむ主人公が妹に夢を語る物語です。

 

イギリスでは若者のバイブルとなっているそうなのですが、全米各地の学校ではそうはいかなかったそうです。不道徳、冒涜的、卑猥な表現などを理由に、この本を禁書としました。

しかし、「禁書」だけでは終わりません。当時大人気だったジョンレノンや、レーガン大統領、女優のレベッカ・シェーファーが殺害、または殺害未遂をされた際に、その3人の犯人は バラバラなのにもかかわらず、みな共通してこの「ライ麦畑をつかまえて」を所持していたというのです。所持といっても、家の本棚にあったわけではありません。事件現場や、犯人のポケット、なかには「それ」を読んで警察が来るのを待つ犯人もいたそうです。

 

これは、第一章の「事件や災いを引き起こした本」に書かれています。

 

他にも、第四章の「差別・思想で発禁になった本」には、日本史でちょこっとだけ触れた「蟹工船」

第五章の「偽書、ねつ造の疑いがある本」にはあの有名な「アンネの日記」について書かれています。

 

「蟹工船」については、とにかく悲惨でした。

蟹よりも、「労働者の命のほうが軽くあつかわれていた」という実際のエピソードをもとに作られた本なのですが、心臓麻痺で亡くなったとされた著者の最期も、まさにそこに書かれていた労働者へのリンチシーンと重なるものがあったそうです。

 

なにがあったのか詳しく知りたい方、他の本にも興味のある方は是非一度読んでみてください。

 

(文:イクミ)

 

書籍情報

内容紹介

世の中には「いわくつき」の本が溢れている。
イスラム教を冒涜しているとしてイランの最高指導者から作者に「死刑宣告」が出され、日本で同書を翻訳した筑波大学の五十嵐助教授が何者かに殺害された『悪魔の詩』、
進化論を認めないアメリカの学校教育で撲滅運動にあった『種の起源』、
ジョンレノンを殺害したチャップマン、レーガン大統領暗殺未遂事件の犯人など、3人の凶悪犯罪者のバイブルとなった『ライ麦畑でつかまえて』、
日本初のプライバシー裁判になった三島由紀夫の『宴のあと』、
出版社が勝手に内容を変えて出版していた『華氏451度』など、
世間を大きく賑わし、深刻なトラブルを起こした書籍を40冊紹介。
本も面白いが、その裏側はもっと興味深い!
差別、政治的封殺、思想、宗教、弾圧など、タブーに鋭く切り込んだ刺激的な1冊です。

 

 

BIRDY meets 高橋ゼミ

「BIRDY」コラボーレーション・ブクログとして、跡見学園女子大学の高橋ゼミのブクログ情報を提供いただき、掲載しています。

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ABOUTこの記事をかいた人

▼2年実践ゼミナール 「働く女性と法ゼミ」 時事問題や女性を取り巻く法と会社法を学ぶ。 全員2週間のアカデミック・インターンシップを体験 インターンシップ先は、議員事務所、区役所、一般企業等。 ▼3.4年展開ゼミナール「企業法ゼミ」 会社法と金融商品取引法を学ぶ。 判例研究や、論文の輪読など。 (ゼミ員数 2年~4年、各学年15名前後)