文学は難しい?? そんなことありません!!!
美しい言葉・胸を刺す心理描写…等は心に訴え、頭というよりは、感覚で読まされるものだと私は思っています。
そこで、「文学女子のすゝめ」は、名作に紡がれた言葉や内容を紹介してゆきます。
今回は引き続き、宮沢賢治の作品を☆
ちょっと不気味な…でもつい笑ってしまう(私だけ??)超有名料理店へ〜
RESTAURANT WILD CAT〜注文の多い料理店〜
オチを知っている方が多いこの作品(笑)
オチを知ってても作品の世界に引込まれてゆきます。
小さい頃に読んだ時は、不気味な話だなぁというのが率直な感想で
なんて2人の男に、早くおかしいと気づきなさいよ!なーんてハラハラしながらページをめくっていました。
でも、今読むと皮肉さにフフっと笑ってしまうから不思議。
人が持つ自己顕示欲と卑しさ(自分の良い方向へ解釈をするとか)。
でも、顕示するものを失ったとたんに自分の本質(作中では紙くずのようにクシャクシャになったままの顔)が露呈し、もう隠せなくなる。
また、自らが見捨てたもの(自然)に救われるのも皮肉めいている。
というのが今の私の感想ですが、全く違う解釈をされる方も多いと思います。
この童話を通して宮沢賢治が伝えたかったことは何なのでしょうか??
発刊当時(1924年)の広告ちらし
宮沢賢治は、広告ちらし内で注文の多い料理店について以下ように書いています。
二人の青年紳士が猟に出て路を迷ひ「注文の多い料理店」に入りその途方もない経営者から却つて注文されてゐたはなし。糧に乏しい村のこどもらが都会文明と放恣な階級とに対する止むに止まれない反感です。
出典:http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/43733_17907.html
農村は貧困にあえぐ弱者であり、都会は贅沢さを纏う強者という反感の…話?
えぇ!そんな話だったの!?
この作品は、表面的な自分勝手な都会文化への批評精神で書かれているようです。
大赤字?出版の裏話
本書の出版は賢治のほか、発行人となっている近森、および近森の出版業を手伝っていた及川四郎の3人で進められた。近森は農業の実用書を刊行してある程度の成功を収めており、その利益をつぎ込む形で親交のあった賢治の童話を刊行しようという話になった。
『注文の多い料理店』という書名は及川が強く推したのに対し、他の2名は当初「飲食店を対象とした商業テキストと誤解されるのではないか」という理由でためらったと、及川は後に記している。この懸念は不幸にも的中することとなった。また、「東京光原社」という版元の名前は賢治の命名といわれる。この間、近森の資金繰りが悪化したことから、最終的に賢治は刊行された本のうち200部を自費で買い取っている。
定価が1円60銭と比較的高価だったためもあり、ほとんどが売れ残った(当時の映画入場料は30銭ほど)という。
及川は売れ残った本を、近所の子どもたちにかけっこをさせて順位に関係なく配ったりした。
ただ読むだけでなく、作者の心境や時代背景等を改めて調べてみて読んでみるのもより作品の中に入り込める感じがして面白いですよ♪
ぜひ、改めて料理店へ足を運んではいかがでしょうか?
青空文庫:http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/43754_17659.html