第10回 既婚男性が語る 女性のキャリアと夫婦のスタイル – 家事は「戦略」 外出の多い3児のパパ 石川貴志さんの場合

女性のキャリア、働き方

既婚の方にお会いして、仕事観や人生観、ライフスタイルについてのお話を伺うシリーズ。

今回インタビューを受けてくださったのは、イキイキと働く大人を増やしていくことで、子供たちが未来に夢を描ける社会をつくることを目指した活動を行っている、石川貴志さんです。

上段右側が石川さん。5人家族です。

上段右側が石川さん。5人家族です。

石川さんは、「パパの会」など、家族に関するイベントを複数手掛けていらっしゃるので、どんな考えや想いを持って生きている方なのかとても気になるところでした。意外にも、独身時代は結婚願望があまりなかったのだと言います。

子育てをする日々の中で、石川さんの価値観は、少しずつ変化していったのです。

夜に外出する際の行動にご注目!
それでは、インタビューをご覧ください。

 

石川さんの現在の仕事・活動

一般社団法人Work Design Lab(ワークデザインラボ) 代表

出版書籍流通企業の経営企画部門に勤務する傍ら「イキイキと働く大人で溢れる社会、そんな大人を見て子どもが未来に夢を描ける社会を創りたい」というビジョンのもと、個人と組織の関係性を再構築する新しい働き方や、場所や組織の枠を超えた働き方などを考えるための様々な活動を行っている。

 

結婚生活について

結婚時期:2009年2月
家族構成:奥様、子供3人(2016年9月現在:長女5歳、長男2歳、次女0歳)
奥様について:フリーランスで企業の採用・教育・営業等のコンサルティングを行っている

 

妻は、ケンカをほとんどしないチームメイト

奥様とはお付き合いしていた頃からケンカをほとんどしないそう。

「色々な価値観が似ていて、一緒にいて楽な人」だと感じていたことも、石川さんが奥様と結婚したいと思った理由のひとつでした。

よく聞かれる言葉ですが、「一緒にいて楽」という言葉の意味は、実はとても深いもの。
何が楽なのかは人によって違います。

石川さんは、どんな人と一緒にいることが「楽」なのでしょうか。

「一緒にいて自分自身が自然体でいられる人。自然体でいられるということは必ずしも同じタイプという訳ではないと思います。互いの強みは尊重し、足りないところは補完し合っている関係です。それと、これは、本人から特別何か言われたわけでもきちんと確認したわけでもないのですが、妻が僕を自由にしてくれている背景として、自分を信頼してくれている、というのがある気がしていて、それが、自分にとっては楽なんです。」(石川さん)

奥様との関係を一言で表すなら「チームメイト」。
二人は、結婚の前からお互いのキャリアプランや人生観についてしょっちゅう話をしていました。それは今でも変わらず、外で二人だけでランチをしながら今後の話をすることも。

「勝手に舵を切ってしまうのではなく、お互いに相談しながら進めています。二人で乗っている船なので。」(石川さん)

とにかく早く帰る!夫婦のスケジュールはGoogleカレンダーで共有

3番目のお子様がまだ生後5ヶ月なので、仕事後はとにかく早く帰るようにしているという石川さん。

夜に予定がある日でも、18時半を目指していったん家に帰り、3人の子供のご飯からお風呂までの時間を一緒に過ごしてから仕事や勉強会に出かけるそう。

「この時間帯は夫婦二人でこなすのが一番なんですよ。一人じゃ大変なので。」(石川さん)

奥様とは、予定をGoogleカレンダー上で共有。夜の予定は、お互いに相手の予定が入っていないところに入れています。

そしてなんと、一番上のお嬢様は一緒に勉強会に出ることも。

「語られている話の内容は理解していないと思いますが、お菓子が出たりすることもあって本人が行きたがるんです。でも、今日は雰囲気が柔らかいとか、堅いとか、楽しそう、といった、場の空気は敏感に感じ取っているみたいですね。僕が主催のイベントには連れて行くようにしています。そうすれば、参加者のみなさんも子供を連れて参加しやすいですし、子供がいると場も和みますから。妻もイベントの受付を手伝ってくれたりします。」(石川さん)

家事は「分担」じゃなくて「戦略」

共働きが前提で結婚した石川さん。でも、家事は「分担」だとは思っていません。

「『分担』と言ってしまうと、端折り仕事みたいであまり重要じゃないことをするような印象があるじゃないですか。むしろ家庭というチーム運営にとって重要な『家事戦略』と言われた方がやる気が出ます。自主性は大事なので、『戦略』だと思ってやっています。家事は、『妻の仕事を手伝う』んじゃなくて、『当事者としてやる』ことなので、自主性があるかどうかは妻も気にしている部分だと思います。」(石川さん)

子供が生まれたことであらゆることが変わった

初めはかなり葛藤もあったという石川さん。独身時代は自分のために全ての時間を使うことができたため、時間を気にすることなく仕事に邁進する日々を送っていましたが、子供が生まれるとそうはいきません。

立場が変わり、役割が増え、物事を見る視点も、時間に対する考え方も、関わるコミュニティーも変わりました。そして、「自分にとっての幸せ」について自分なりの考えを持つようになり、本来の自分としっかりつながることができるようになりました。

そうすると、自然と自分と人を比べることもなくなっていきます。

子供に愛情を持って接していく日々の中で、これまでもよりもご両親のことを想う瞬間も増えました。子供の存在が、石川さんの視界とライフスタイルを、自然に、そして大きく、変えていったのです。

周りの人に対して、無条件に期待

石川さんが、家族と接する上で大事にしていることは、ユーモア。

「一緒にいる時間を面白くしたいので、色々仕込みますよ。ホントに楽しくて明るい家庭ですね。子供たちが常に笑っている家です。」(石川さん)

そしてもう一つは、期待すること。

「楽観的すぎるかもしれませんが、子供たちは上手く育っているし、妻もイキイキ働くだろうし、全体的に良い方向に行っていると思っています。あまり細かいことは気にしていませんが、私自身がこうして妻や子供のことを楽観的にとらえて期待していることが、今の良い関係に繋がっていると思います。

これは、仕事でもよくやることです。

かつて、自分に無条件の期待をしてくれた上司がいたんです。期待されるとエネルギーが出ますし、うまくいった時にすごくありがたいなって思いました。

だから、今は自分がメンバーに期待をしています。たとえうまくいかないことがあっても『大丈夫だよ。今はその時期じゃないだけだよ。絶対大丈夫!!』って声をかけたりしながら。昔は、子供に接するのと同じような愛情を持ってチームのメンバーに接していなかった気がするんです。だから、これからは気をつけたいなと思って。」(石川さん)

幸せは周りとの関係性の中にある

石川さんが考える幸せは、「創造性を活かして社会に貢献していくこと」

「でも、まずは自分の家庭を楽しくて明るくて面白いものにしたいと考えています。ベースである家庭が整うと、仕事にも力が入りますし、その先の社会的なことへの実現に気持ちが向かうものだからです。

僕は、良い人間関係の中で生きていくことが一番幸せだと思います。結果ではなくプロセスの中に幸せがあると思っていますが、それが大きな『目標』に繋がっていったらベストです。

でも、良い『目標』を掲げていると素敵な人が集まってくるので、自然と良い人間関係を築くことに繋がっていきます。だから、『目標』達成のためにやっていることが逆に『手段』になって自分の幸せに繋がっている。最近は『目標』と『手段』は逆なんじゃないかって感じることもあります。」(石川さん)

家族と一緒に社外活動へ。子供がいると場が和みます。

家族と一緒に社外活動へ。子供がいると場が和みます。

 

女性が、自分の生き方や働き方について迷う瞬間があるのだとしたら

「おこがましくて、僕からはアドバイスなんて何もありませんし、無責任なことを言うこともできませんが、最終的には、それぞれが自分の好きなようにやると良いと思います。自分で決断して、自分自身が違和感のない方向にいけば良いと思うんです。自分で選んだ道なら、たとえそれが間違っていたとしても、次回にはその経験を活かした判断ができる。そうやって、自分で決断することを続けていく中で、本当の自分に近づいていくことができますから。

そして、これは女性に限った話ではありませんが、複数の収入源を持つことは大事だと思います。収入源が1つだけだと、気持ちや時間など、あらゆる面をその1つに捧げてしまってあまり良くない気がするので、複数の収入源を持つ働き方を目指す個人や、そういった働き方を尊重する企業を応援していきたいです。」(石川さん)

 

未来に続くバトン

子供が生まれたことをきっかけに、自分が死んだ後の未来についても考えるようになったと話す石川さん。

先祖から受け継いだ命のバトンを、今は自分が持っています。
そして、今後バトンを渡す相手もわかっています。
だから既に気づいている。この人生って、実はすごく大切なんだということに。

「バトンを持っている今、何ができるかな?」(石川さん)