こんにちは。高橋ゼミのミクです。
今回ご紹介する本は、フィリップ・K・ディックさんの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』です。
40年ほど前に書かれた作品で、『ブレードランナー』というタイトルで映画化されたことでも有名です。SFの古典とも言われている作品です。
あらすじは、戦争が起きてほとんどの動物が絶滅してしまった近未来の地球を舞台に、賞金稼ぎを生業とする主人公が動物を手に入れるため、人間に逆らって火星から逃げてきたアンドロイドを処理していくというストーリーです。
他人と感覚が共有できる機械や空を飛ぶ車などSFらしい物が数々登場し、タイトルにもなっているアンドロイドもその1つでこの作品の根幹にもなっています。
主人公のリック・デッカードは、アンドロイドを破壊しながら各地を巡っているなかで人間のようなアンドロイドやアンドロイドのような人間と出会います。次第にアンドロイドに感情移入するようになっていったリックは、アンドロイドを壊すことに躊躇いをもつようになってしまった自分に気がつきます。人間とアンドロイドの差は感情移入ができるかどうかだと考えていたリックは、アンドロイドに感情移入してしまう自分は本当に人間なのか?それともアンドロイドなのか?と悩み始めます。リックの苦悩を通して「人間とは何か?」という本作のテーマを描いています。
主人公の正体やラストシーンの意味など、読者の中でも解釈が別れる作品なので、物語の考察をするのが好きな人やSFに興味のある人は特に楽しむことが出来ると思います。
人間とはなんなのか考えさせられる作品です。たくさんの人に読んでもらいたい1冊です。
(文:ミク)
書籍情報
内容紹介
長く続いた戦争のため、放射能灰に汚染され廃墟と化した地球。生き残ったものの中には異星に安住の地を求めるものも多い。そのため異星での植 民計画が重要視されるが、過酷で危険を伴う労働は、もっぱらアンドロイドを用いて行われている。また、多くの生物が絶滅し稀少なため、生物を所有すること が一種のステータスとなっている。そんななか、火星で植民奴隷として使われていた8人のアンドロイドが逃亡し、地球に逃げ込むという事件が発生。人工の電 気羊しか飼えず、本物の動物を手に入れたいと願っているリックは、多額の懸賞金のため「アンドロイド狩り」の仕事を引き受けるのだが…。
映画『ブレードランナー』の原作として知られている、フィリップ・K・ディック1968年発表の傑作長編。著者は1982年、53歳で亡くなった。皮肉にもこの年に公開されたこの映画作品により、彼は一躍スターダムにのしあがることとなった。
ディッ クの作品には、SF小説でありながら、登場人物の人間関係、恋愛、家族のきずななどが見事に盛り込まれている。この物語も単なる賞金かせぎとアンドロイド 8人のバトルで終わってはいない。人間とアンドロイドの違いを通して、人間とは何かを考えさせられる作品だ。(石井和人)
BIRDY meets 高橋ゼミ
「BIRDY」コラボーレーション・ブクログとして、跡見学園女子大学の高橋ゼミのブクログ情報を提供いただき、掲載しています。
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