こんにちは。高橋ゼミのミキです。
今回ご紹介する本は、中村文則さんの「何もかも憂鬱な夜に」です。
あらすじ
施設で育った刑務官の「僕」が主人公。二十歳の死刑囚・山井を担当している。山井は一週間後に迫る控訴期限が過ぎれば死刑が確定してしまうにもかかわらず、かたくなに行動には移らない。どこか自分と似たところのある山井に「僕」は苛立ちを覚え始める。
「僕」の生と死に対する考えや、大きく揺れ動く不安定な心、死刑制度について描いた作品である。
感想
芥川賞受賞作家の中村文則さんが書いた小説である。決してページ数の多い作品ではないが、簡単には理解することのできないようなそんな作品であった。刑務官という仕事について事細かに描かれていて、読んでいて胸が苦しくなるような場面も多く、なかなか読み進めることが出来なかった。死刑制度について、この本を読んで気づかされることもあり、改めて制度について考えさせられた。全体的に暗く重たい内容ではあるが、最後には一筋の光が差すような作品である。
主人公が、施設長や上司からかけられる言葉の数々は私の胸に強く突き刺さるものが多く、不安な気持ちが救われたように思う。きっと、理由はわからないけれど、どこかモヤモヤしていた気持ちを楽にしてくれるような言葉に出会えるはずである。この主人公が支えてくれる人の存在があったからこそ生きてこられたように、自分も周りの人を大切にしようと思わせてくれた。
解説をピースの又吉さんが書いているのでそれを読むのも楽しみの一つだと思う。
(文:ミキ)
書籍情報
内容紹介
内容紹介
元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。ショッピングセンターの片隅で、悩みを抱える人の背中を押す。父と母の どちらを選ぶべき?という小学生男子や、占いが何度外れても訪れる女子高生、物事のおしまいが見えるという青年…。じんわり優しく温かい著者の世界が詰 まった一冊。
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「BIRDY」コラボーレーション・ブクログとして、跡見学園女子大学の高橋ゼミのブクログ情報を提供いただき、掲載しています。
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